【HLE中国商標実務レポート】中国『商標法』における先行著作権保護について

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中国『商標法』における先行著作権保護について

中国『商標法』第32条では、「商標登録出願は、先に存在する他人の権利を侵害してはならない。他人が先に使用している一定の影響力のある商標を不正な手段で抜け駆け登録してはならない」と規定している。
この条項の立法目的は、「権利衝突」を解決するためでなく、他人の商標権以外の合法的先行権利を保護し、誠実信用原則に違反する不正な商標登録出願行為を規制するためである。

 

この条項に規された「先に存在する他人の権利」とは、商標権以外の合法的先行権利のことであり、先行著作権はもちろんその中で含められている。商標案件において、先行著作権が保護される前提として、下記の3つが挙げられる。

  1. 係争商標と他人が先行著作権を享有する作品と同じもしくは実質上の類似商品に該当する
  2. 係争商標出願人が、他人が先行著作権を享有する作品を接触した、もしくは接触する可能性がある
  3. 係争商標出願人は著作権利者の許可をもらっていない

 

先行著作権の認定について、中国の最高人民裁判所は『著作権民事紛争事件審理上の法律適用の若干問題に関する解釈』第7条では、「当事者が提出した著作権にかかわる文案、原文、合法的出版物、著作権登記証書、認証機関の発行した証明、権利を取得した契約などは、証拠とすることができる」と規定されている。著作権登記証書は各国の著作権登記機構が作品著作権の帰属に対する初歩的確認であり、公信力と公示性を備えるため、先行著作権の挙証にとって重要な意義があり、前記『解釈』により、登記者が当該登記作品に対し、著作権を享有する初歩的な証明であるといえる。

 

実務においては、当事者が先行著作権を享有することを証明するために提出した著作権登記証書は2種に分けられる。
その一種は、係争商標の登録出願日前に、所有者がすでに中国、もしくは他の『ベルヌ条約』加盟国で著作権登記証書を取得したもの(以下「先行著作権登記証書」という);もう一種は、係争商標の登録出願日の後で、中国や他の『ベルヌ条約』加盟国で著作権を登記し、しかし記載された作品の創作完成日は係争商標の登録出願日より早い著作権登記証書を取得したもの(以下「後行著作権登記証書」という)である。

 

先行著作権登記証書の証明効力については、登記時間が係争商標の登録出願日より早いため、たとえ当事者がこの証書だけを提出したとしても、先行著作権を享有することを挙証する初歩的責任を完成したと見なされ、更なる挙証責任は先方の当事者に移る。先方は反駁を証拠を提出できない限り、先行著作権の享有が成立すると見なされる。

 

また、後行著作権登記証書の証明効力については、中国は他の多くの国家と同じく、著作権登記に対し、自己意志の原則に従い、また、著作権登記証書に記載された作品の創作時間は登記機構が当事者に提供された情報に基づき記入したもので、実質的な審査を行わない。そのため、当事者が係争商標の登録出願日の後に登記された著作権登記証書だけを提出し、作品の創作時間を証明できる他の補佐証拠がない場合、たとえ証書に記載された創作時間は係争商標の登録出願日より早くても、当事者が先行著作権を享有することは証明できない。このような場合、当事者の初歩的挙証責任は完成していないと見なされ、挙証責任は移らず、先方当事者は反駁の証拠を提出しなくても、当事者の主張を否定できる。

 

(2018/9/27 北京恵利爾商標代理有限責任公司)


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