マドプロ出願の応答期間について

マドプロ出願とは

外国における商標登録出願時の方法には、各国個別に出願する直接出願及びマドプロによる国際出願があります。後者のマドプロによる国際出願(略して:マドプロ出願)は、日本国特許庁を受理官庁として、加盟国の中から指定した国に一括して商標を出願できる制度です。

マドプロ出願のメリットとは

マドプロ出願には、様々なメリットがあります。

例えば、コストが直接出願より低額なことや商標の更新登録期限等を一元管理できること、最長審査期間が規定されているため、直接出願では審査に長期間かかる国でも審査の遅延がないことなどがありますので、出願人にとって、とても便利な制度です。

マドプロ出願のデメリットは?

しかし、このように便利な国際登録制度でも、デメリットといえる事項が一点あります。それはOA(補正、暫定的拒絶、拒絶査定等のOffice Action)の応答期間です。

マドプロ出願が指定国で審査がされ、審査の結果、登録を拒絶する旨の通知や商品修正の通知等があった場合、指定国の現地代理人により応答することになりますが、そこで困ったことが生じます。各加盟国のOA応答期間がそれぞれ異なり、中国のように拒絶査定の応答期間が僅か15日しかない国もあります。このような短時間で、応答の要否を決め、現地代理人を選び、必要書類を提供し、応答に対する主張を検討するのは大変です。中国以外では、アラブ首長国連邦のように30日内に公証・領事認証済みの委任状を提供しなければならない国もあります。実務において、応答期間が短すぎるため、やむを得ず応答を放棄する出願人が少なくないと思います。

応答期間の短い加盟国の審査意見に備え、事前に対策を取っておく

重要商標であれば、応答期間の短い加盟国の審査意見に備え、事前に対策を取っておくことをお勧めします。事前の対策について、筆者は以下3点をご提案しますので、ご参考にしていただけましたら幸いです。


まず、いくつか指定国の代理事務所に事前にコンタクトをとって、現地代理人を選んでおきます。できれば、先行商標調査を行って、現地代理人の意見をいただくのも良いと思います。この先行商標調査は、マドプロ出願前に行った方がベストですが、指定国において審査されている間に行うのも良いと思います。


また、先行商標調査の結果によって、OAが発行される確率が高いと思われる場合、発行される前に応答用の必要書類を用意し、公証・領事認証手続を済ませておくことが考えられます。最終的に応答せず必要書類の公証・領事認証が無駄になる可能性もありますが、慌てて手続をして、重要商標の応答ができないという事象が避けられます。


上記と同時に加盟国の制度について、確認しておくことも重要です。例えば、中国では、商標法の規定により、確かに拒絶査定の応答期間が15日しかありませんが、電子システムを利用できるようになった現在、更に15日の送達期間が増すため、合わせて30日になります。

マドプロ改正について

なお、嬉しいお知らせですが、2023年11月1日に発効されたマドリッド協定の議定書に基づく規則第17規則への改正は、加盟国に対し、国際登録の名義人に、暫定的拒絶に対する再審査の請求、抗告、又は応答を提出するための、2ヶ月、又は連続した、もしくは暦日で60日という最低期間を提供することを要求するという内容です。

同規則第40規則(8)への改正は、締約国に対し、2025年2月1日までに、新たな最低期間の要求を満たすことを求めていますが、延期することが可能ですので、いつ正式に発効されるかは未定です。

 

 

(北京恵利爾知識産権信息諮詢有限責任公司)

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