中国商標法の第4条は、「自然人、法人又はその他の組織が、生産経営活動において、その商品又は役務について商標専用権を取得する必要がある場合には、商標局に商標の登録を出願しなければならない。使用を目的としない悪意のある商標登録出願は拒絶しなければならない。」と規定されております。

従来、この第4条を適用して成立した異議申立案件のうち、被異議商標の出願人が使用を目的とせずに大量に商標を出願したため、本条に違反すると認定されたものが多かったのですが、被異議商標の出願人が権利能力を失い、経営活動を停止した場合、本条を適用できますか?

言い換えれば、このような被異議申立商標は登録できますか?

典型的な判例

上記の疑問について、商標第54491795号「華莱仕福」に関する異議申立案件の審査結果から、中国商標局がこのような案件に対して、どのように処理したか考察しました。

本件において、異議申立人が二つの異議理由を主張しました。

1つ目は、被異議申立商標に対して異議申立人が類似商品について先行登録した第23667026号、第10912752号「華莱士」と類似すること。

2つ目は、被異議申立人はすでに閉鎖されたため、被異議申立商標が登録の正当性と合理性を失うことです。

審査の結果、商標局は前述2つの理由を認め、被異議申立商標の登録を却下しました。

本件は商標法の第4条を適用し、商標権の権利能力を喪失した出願人の商標出願を却下した典型的な判例です。

登録商標の出願人が満たすべき条件

「商標法」第4条前半によって、商標登録出願の前提条件、即ち登録商標の出願人が満たすべき条件は2点あり、1つ目は、商標専用権は民事権利の一種として、自然人、法人またはその他の組織、即ち権利能力を有する出願人によって行使するべきです。

2つ目は、商標は申請者が生産経営活動に従事するために出願されるものであるべきです。

つまり、商標にとって、商標の使用者、商標使用の対象商品・役務及び商標標識自体という3つの要素は相互に関連しており不可欠で、そうでなければ商標が商品または役務の出所を識別するという商標の最も本質的な機能を果たすことができません。

商標法の第4条前半に指摘されている状況とは?

本件において、異議申立人が提出した証拠資料によりますと、被異議申立人の営業許可証は2021年5月11日に取消され、かつ被異議申立人は取消前に商標の出願人変更、譲渡もしくは商標に対する他の処分措置をした記録がない。被異議申立商標の出願人は、その営業許可証が取消された後、その権利義務を継承する主体が存在するかについて答弁しなかった、ということが分かりました。

従って、このように被異議申立人の会社がすでに存在せず商標権の主体としての資格が消滅した場合、被異議申立商標を生産経営の段階で流通させること、もしくは指定役務に使用し、役務の出所を識別することが不可能になりました。

このような状況の中で被異議申立人の商標出願行為は、前述の商標登録の前提条件に合わないため、商標法の第4条前半に指摘されている状況に該当します。

「使用のために出願する」

商標の価値は使用にあります。

この判例は商標の実際の使用に注目し、商標出願行為を「使用のために出願する」という法律の本意を強調しました。

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