抹消済み企業の営業許可証を用いて商標出願する行為は、欺瞞的な手段によって商標登録を受ける行為に該当する

中国『商標法』第四十四条第一項は、不正な手段による商標登録を無効とする規定

『商標法』第四十四条第一項の規定では、「登録された商標が、この法律の第四条、第十条、第十一条、第十二条、第十九条第四項の規定に違反している場合、又は欺瞞的な手段若しくはその他の不正な手段によって登録を受けた場合は、商標局が当該登録商標の無効を宣告するその他の組織又は個人は、商標評審委員会に当該登録商標の無効宣告を請求することができる。」と規定しています。この条項は、信義誠実の原則に反し、不当な手段で商標登録を受ける行為を規制するものです。

では、ここでいう「欺瞞的な手段によって商標登録を受ける行為」とは、具体的にどのような行為を指すのでしょうか。

「欺瞞的な手段によって商標登録を受ける行為」とは?

『商標審査審理指南』の規定によれば、「欺瞞的な手段によって商標登録を受ける行為」とは、係争商標登録の出願人が商標登録出願を行う際に、商標登録部門に対して事実を偽り、又は真相を隠し、偽造された出願書類その他の証明書類を提出するなどの手段で商標登録を不正に取得することを言います。当該行為には、次に掲げるものが含まれますが、これらに限定されるものではありません。

  1. 出願書類の押印又は署名を偽造する行為。
  2. 出願人の身分証明書類を偽造又は改ざんする行為。当該行為には、虚偽の身分証明書や営業許可証などの身分証明書類を使用し、又は身分証明書や営業許可証などの身分証明書類における重要な登記事項を改ざんする行為などが含まれる。
  3. その他の証明書類を偽造する行為。

具体的な事例

では、具体的な事例を通じて見ていきましょう。

A社は、自転車部品および付属品を製造・販売する企業であり、長年にわたり「REDSHIFT」というブランドを使用しています。ある時、A社は、李氏が第12類「自転車」などの商品、および第35類「広告」などの役務について、2件の「REDSHIFT」商標を登録していることを発見しました。そして、自社の正当な権利利益を守るため、A社はこれら2件の登録商標について無効宣告を請求しました。

審査の過程で、以下の事実が明らかになりました。

  • 第12類における「REDSHIFT」商標の出願日は2020年9月4日であり、第35類における同商標の出願日は2021年9月18日であった。
  • 李氏は、上記2件の商標登録出願を行った際、商標局に対し、自身が経営者である個人事業主の営業許可証を提出していた。
  • 当該個人事業主の経営者は李氏であり、登録日は2020年2月21日、事業内容は「自転車及びその付属品、日用雑貨の卸売及び小売」とされていた。
  • 国家企業信用情報公示システムを通じて照会したところ、当該個人事業主は2020年5月20日にすでに廃業が承認され、登録が抹消されていた。

つまり、2件の商標出願が行われた時点で、李氏が提出した営業許可証はすでに失効していたことになります。それにもかかわらず、李氏は抹消済みの営業許可証を用いて商標登録出願を行っていました。

したがって、審査機関は、これら2件の「REDSHIFT」商標の登録が『商標法』第四十四条第一項で禁止されている「欺瞞的な手段により登録を受けた場合」に該当すると判断し、当該商標を無効とする決定を下しました。

虚偽の手段によって商標登録部門を欺き、登録を受けてはならない

商標登録出願においては、信義誠実の原則を遵守しなければなりません。虚偽の手段によって商標登録部門を欺き、登録を受けることは認められません。

本件において、李氏が提出した営業許可証は、2件の商標出願日よりも前にすでに失効していました。そのため、李氏は、商標出願時点において有効な主体資格証明を提出できる状態ではありませんでした。さらに、無効宣告手続において答弁を行う際にも、李氏は失効から3年以上経過した営業許可証を再度提出しています。

これらの事情は、李氏に審査機関を欺こうとする主観的な故意があり、かつ、虚偽の手段によって審査機関を欺く客観的な行為も存在していたことを示すものです。

李氏の行為は、商標登録部門を誤認させ、本来なされるべきではない登録決定へと導いたものであり、「欺瞞的な手段によって商標登録を受ける行為」の典型例といえるでしょう。

 

(北京恵利爾知識産権信息諮詢有限責任公司)

中国商標出願サービス

圧倒的コストパフォーマンス!
安心の日本語対応で日本企業の皆様をサポート
中国商標出願・更新手続きならアイアールへ

中国商標の不使用取消請求

中国商標の取消請求はプロにお任せ!
使用状況の簡易調査も可能です
リーズナブルな料金で迅速に手続き