海外商標保護制度の特徴及び申請実務(前編)

Overseas trademarks

海外進出している企業にとっては、海外での商標保護は極めて重要です。しかし、世界中の国や地域は、商標制度も様々です。
二回に分けて、十個の海外商標保護制度について、ご紹介したいと思います。

1.東ティモール、モルディブなどの国では、商標に関する法律が未だに無い

今では、ほとんどの国で商標に関する法律が定立されていますが、一部の僅かな国・地域では、政治、経済、歴史などの原因で、商標に関する法律が未だにありません。

例えば、東ティモール、モルディブ、マーシャル諸島などの国では、商標を保護する一般的な方法は、現地の影響力のある新聞紙にウォーニングを掲載することです。
ウォーニングの内容としては、大体「○○社は第○○類の○○商品において、○○商標権を持っています。権利侵害を発見した場合、○○社は自分の正当権利を守るため、必要な措置を講じさせていただきます」のようなものです。
また、ウォーニングの有効期限については明確な規定がなく、現地の習慣に従って、通常は2-3年毎に改めてウォーニングを掲載するようにしています。

2.アメリカ、フィリピンなどの国では、商標の使用声明・証拠が求められる

中国では不使用取消請求がかけられた場合のみ使用証拠の提出が求められます。
しかい、アメリカ、フィリピン、プエルトリコ、モザンビーク、カンボジア、ハイチなどの国・地域では、商標出願人は所定期間内に、自発的に商標審査機関に使用声明もしくは使用証拠を提出する必要があります。

例として、アメリカで出願する際には、アメリカの特許商標局に商標の使用証拠若しくは使用する予定の声明を提出し、商標が登録されてからの5-6年間に使用証拠を提出しなければなりません。そして、登録されてから、十年毎に商標の使用証拠を提出する必要があります。そうしなければ、特許商標局から商標登録を取り消されることになります。

また、フィリピンの場合、商標出願人は出願日より3年間以内、登録日より5-6年間以内、更新登録日より1年間以内、更新登録日より5-6年間以内という、それぞれの時点で商標使用証拠を提出する必要があります。提出しない場合は、フィリピンの知的財産権局から商標の登録を取り消されることになります。

3.アメリカ、ベネズエラなどの地域では、現地の区分表が適用される

中国を含め、多数の国ではニース区分表が適用されていますが、一部の国では現地の区分表が適用されています。

例えばアメリカの場合、ニース分類に従っていますが、ニース区分表にある商品の表記があまりにもあやふやだと認定し、特別の規範商品基準が定められました。
出願人は出願する時、商品について詳しく記述すべきだと要求され、そうしなければ審査官から審査意見を出されることになります。

ベネズエラの場合、商品・役務は50区分に分けられています。しかも各区分には、ヘディングネームしかなく、具体的な商品項目は一つもありません。ベネズエラの分類はニース分類との差異があまりにも大きく、時には、ニース区分表によって同じ区分に属す商品はベネズエラの分類によって、多数の区分に属す可能性もあります。

他には例えば、OAPIでは、一式の願書で商品と役務の保護を同時に請求することはできません。フィジーでは、役務商標が受け入れられないなど、様々な状況があります。

4.各国の審査流れは色々ある

中国を含め、大多数の国では、審査の流れは基本的に「出願—受理—審査—公告—登録」です。

ただ、全ての国がその流れであるわけではありません。例えば日本、ドイツなどの国では、審査の流れは基本的に「出願—受理—審査—登録-公告」です。商標は審査を通過すれば直接登録になりますが、商標所有者は公告期間内に他人に異議を申立てられたかを厳重に注意しなければなりません。

ペルー、コロンビア、ブラジルなどの国では、審査の流れは基本的に「出願—受理-公告—審査—登録」です。つまり、方式審査の後で直接公告します。公告期間内では、異議を申立てられることはなく、若しくは、異議が不成立の場合、登録の実体審査を行います。

5.イギリス、フランスなどの国では、相対的理由の審査をしない

中国の場合、商標が方式審査を通ったら、実体審査の段階で、商標局は絶対的理由(顕著性問題など)と相対的理由(他人の先行商標との衝突など)の両方から審査を行います。しかし、イギリス、フランス、欧州連盟などの国・地域では、審査官は実体審査の段階で、絶対的理由のみから審査し、出願商標と他人の先行商標との衝突問題を審査しません。つまり、これらの国・地域で先行登録商標を持っていても、他人の同一・類似商品において出願された類似商標は審査を通過します。審査官は主動的に先行商標に基づいて、後願商標の出願を拒絶することはしません。

以上、まず海外の様々な商標審査・保護制度について、五つの典型的な特徴をご紹介いたしました。

次回では、ほかの五つの典型的な特徴をご紹介いたしますので、お楽しみにしてください。

(2019/6/26 北京恵利爾商標代理有限責任公司)

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