中国における商標の防衛出願

防衛出願(中国商標)


中国では、いわゆる「防衛商標」はまだ学門的な解釈であり、法律的には認められていませんが、実務においては防衛出願を行う企業は少なくありません。
多くの日系大手企業も中国で防衛商標を持っています。
例えば、株式会社日立製作所は、中国の全45区分においてハウスマーク「HITACHI」の商標権を持っています。

防衛商標は商標の希釈化防止、権利擁護及びブランドの発展などの面において大きな役割を担っており、企業の発展にとって非常に重要と言えます。
ところが、防衛商標の重要性は認識するものの、商標禁止権を実現する有効な手段としての防衛出願の実行は、「使用するためではない」という防衛商標に固有の特徴によって妨げられているようです。
特に2019年11月1日より施行された改正後の『中華人民共和国商標法』(以下『商標法』という)には、以下のような悪意的出願を規制する内容が新たに加われました。 第四条第一項 使用するためでなく、悪意で出願された商標は、拒絶するものとする。

悪意の大量出願の規制と防衛出願の関係は?

防衛商標は企業の発展において、他人が同一商標を登録/使用することを阻止することによって、他人が権利侵害や「ただ乗り」をすることを防ぐために存在するのですが、いわゆる「使用義務」には違反しているようです。では、防衛出願は改正後の『商標法』に規定された「悪意的出願」に該当するのでしょうか?

実は、中国国家知的財産権局が2019年5月9日に発表した『商標法改正に関する問題の解読』において、「大量出願行為の規制については、原則的な法的規定があるだけで、直接的かつ明確で実効性の高い条項が欠けていたため、実務においては打撃の効果が弱かった。今回の改正は、根本から悪意的出願を阻止し、商標の登録出願を使用が目的である制度に戻すためである」と明確に説明しました。
つまり、『商標法』第四条の規定は、悪意で大量出願する行為を精確に打撃するためにあります。防衛出願は第四条に規定された場合に該当しません。企業が商標、特にハウスマークを保護するための防衛出願は国際的に用いられる戦略であり、非合理な規制を受けることはありません。

ただ、実務においては、特に商標出願の初歩的な審査段階においては、防衛出願と大量悪意出願を見分けることは容易ではない場合があります。
たとえ防衛出願であってもその出願件数は限られるはずで、あまりにも多過ぎる異常な件数を出願する場合、単なる防衛のためではないと判断される可能性はあるでしょう。

(北京恵利爾商標代理有限責任公司)

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