契約書

商標に関する異議申立と不登録決定に対する不服審判(異議申立人の理由が成立し被異議商標が却下された場合、商標出願人がこれを不服とし、不服審判を提出することを指す。以下「不服審判」という)案件のうち、異議申立人と商標出願人が商標共存の合意に達した場合や被異議商標を異議申立人に譲渡した場合、和解することができます。しかし、当事者双方が和解を達成した場合でも、その結果が必ずしも当事者の期待通りに進むとは限らず、リスクも存在します。

前回の記事では実務上でのリスクを2つ紹介しましたが、今回は、残りの1つをご紹介します。

和解で異議申立理由を解消する際のリスクの3つめとは?

被異議商標が第3者に譲渡されたケース

それは、異議申立の根拠である引用商標が異議案件の当事者以外の第三者へ譲渡された場合、同第三者により被異議商標の登録を認められなければ、異議申立人と被異議商標の出願人の間に和解協議が締結されていても、当該和解協議は第三者に対して法的拘束力がなく異議申立理由は解消できないというリスクです。

中国における係争の例

判例をご覧ください。

本例において、被異議商標が異議申立人の引用商標と類似するため却下されました。被異議商標の出願人が異議申立人と交渉し、和解に達成した後、「既に異議申立人と和解協議を締結し、異議申立人が共存同意書を出してくれた」という理由で不服審判を提出しました。

しかし、被異議商標の出願人は以下の事を知りませんでした。つまり異議申立人との和解協議の締結、同意書の提供及び異議申立を取下げてもらう以前に異議申立人が第三者との間に既に引用商標の譲渡契約を締結しており、不服審判案件の異議申立人も同第三者へ変更し、引用商標の全ての権利関係を同第三者へ譲ることに同意していたということです。

不服審判の審理の際引用商標の権利人は既に同第三者に変更されており、同第三者は、異議申立の取下げを受け入れず、被異議商標の登録には同意しないという意見を述べました。

国家知的財産権局は審理後、「引用商標の権利人が既に第三者に変更され、第三者が被異議商標の登録に反対するとの意思を明確に表明したため、出願人と異議申立人が締結した和解協議書、共存同意書及び異議申立の取下げ申請は、同第三者に対して法的拘束力がない」という意見を述べました。

和解協議では何に注意すべきか?

本例が示したように、異議案件の中で、出願人が異議申立人との和解を希望する場合、引用商標の状態の変化に留意する必要があります。

和解以前に、もし異議申立人と第三者が既に引用商標の譲渡契約を締結し、且つ被異議商標に関する不服審判案件の異議申立人を同第三者へ変更し、引用商標の全ての権利関係を同第三者へ譲るという同意があれば、引用商標が同第三者へ譲渡された後、出願人と異議申立人が締結した和解協議は同第三者に対して法的拘束力がなく、同第三者が和解協議を認めずに被異議商標の登録に反対するというリスクがあります。

このようなリスクを避けるため、被異議商標の出願人は異議申立人と和解協議を締結する際、被異議商標が登録になるまで引用商標の譲渡をしないよう契約内容の条件として列挙しておく必要があります。

総じて言えば、異議申立とその不服審判の中で、当事者は社会の公的利益や第三者の権利を損なわない前提の下和解協議を締結することにより、自主的かつ迅速に紛争を解決できますし、行政審理資源を浪費することも避けられます。しかし前述のように様々なリスクがあり、どのようにそのリスクを回避し、異議理由を順調に和解で解消するかについては、プロの商標代理業者に問い合わせることをお勧めします。

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