「防衛商標」とは？
一般的に、会社が実際に使用している商標は「主要商標」であるのに対し、「防衛商標」は一般に他人が権利化することを阻止するために出願した商標のことを指します。
「防衛商標」の目的と役割
防衛商標の目的は他人からの権利侵害や「ただ乗り」を防ぐためですが、出願人の使用意思が希薄で使用するか否かについても不明です。
ただ、防衛商標は、常に防御の役割を果たせるとは限りません。
中国商標法の規定により、すべての商標には使用義務があります。使用こそが商標の価値であり、その使用状況に対する分析を通して、その商標価値を評価することになります。
もし主要商標の使用が権利を維持するためだけであり、その主要商標の知名度が他人に模倣されるほどではなく、且つ、この主要商標の存在だけで他人の同一及び類似の商品・役務における登録を阻止できる場合、防衛商標としての意義は大きくありません。
また、もし主要商標を権利維持のためだけに最小限使用したり、又は使用しない場合には、主要商標が取り消されるリスクが高く、一旦主要商標が取り消されると、防衛商標はその意義も失います。
登録商標の不使用取消審判において
実は、登録商標の不使用取消審判における使用証拠に対する審査では、権利者が同一又は類似の商品・役務に主要商標及び防衛商標等の複数の商標を有している場合は、権利者が主要商標だけを有している場合に比べて厳しい判断がなされる可能性があります。
一部の取消審判案件の中で権利者は、その主要商標の使用行為の法的効力がその防衛商標にも及ぶという主張をしましたが、行政機関や司法機関には認められませんでした。
たとえ主要商標が有名なものであっても、その知名度は、その持っている全ての商標に及ぶことはありません。
主要商標であっても、防衛商標であっても、商標の権利者はそれを誠実、且つ合法的、有効的に使用する義務があります。
権利擁護の道
市場経済の発展に伴い、企業は益々商標権を重視するようになっており、全区分の出願又は大量の防衛商標の出願をしている企業があります。
ただ、使用してこそ商標の価値を高め、更にブランドの発展を促進することができます。従って、登録商標を三年間連続して使用しなければ有限な商標資源を浪費するだけでなく、結局商標の専用権が取り消されるリスクも高くなります。
三年不使用による取消制度の下、誠実信用の原則に基づき、防衛商標を含む登録商標の使用をすることこそ、最も確実な権利擁護の道です。
（北京恵利爾商標代理有限責任公司）
