馳名商標の認定と保護は、企業の商標権保護上の重点であり、難点でもあります。

企業の商標権保護上の重点

「重点」とは、馳名商標が普通の商標より強い保護を得ることができ、権利者の権利行使上の有力な切り札の一つとなります。
企業の商標権保護上の難点

「難点」とは、馳名商標の認定(特に初めて馳名商標の認定を請求する場合)には、証拠提示に関する要求が高く、権利者の立証責任が重く、立証の難しさも大きくなります。

このような状況のため、馳名商標の認定に関する証拠の収集と準備は、複雑なままです。

馳名商標の認定に関する考慮すべき五要素

中国の商標法等によって、馳名商標の認定に関する考慮すべき要素は、

  • 関連する公衆の当該商標に対する認知度
  • 当該商標の持続的な使用期間
  • 当該商標のあらゆる宣伝業務の継続期間とその程度及び地理的範囲
  • 当該商標の馳名商標としての保護記録
  • 当該商標が馳名であることのその他の要因 

という5点となります。

以下は、この5点によって、馳名商標の認定に当たって提示すべき証拠について詳しく説明します。

(1)関連する公衆の当該商標に対する認知度

一つ目は、関連する公衆の当該商標に対する認知度を証明できる証拠、つまり有名ランキング(例えば、Interbrand、World Brand Lab等)での順位、マスコミ記事、受賞記録、栄誉や賞状等が含まれます。

(2)当該商標の持続的な使用期間

二つ目は、当該商標の継続的な使用期間を証明できる証拠、つまり商標の使用、登録の歴史と範囲を証明する資料を含みます。

当該商標が登録商標でない場合、その使用期間が5年以上であることを証明できる資料を提供し、商標が登録商標である場合、その登録期間が3年間以上、または5年以上の使用年数を証明できる資料の提供となります。

(3)当該商標のあらゆる宣伝業務の継続期間とその程度及び地理的範囲

三つ目は、当該商標のあらゆる宣伝業務の継続期間と程度及び地理的範囲を証明できる証拠については、指定商品における当該商標の広告配信契約、広告代理店契約、支払伝票資料、広告登録承認文書、ポスターなどの証拠資料を提供することです。

ただ、実務の中で、ある特殊な分野の製品は、主に原材料又は部品として特定の生産メーカー又はディーラーへ向けて提供するものであるため、普通の消費者としてこれらの製品に接触する可能性が極めて低いです。

従って、通常の製品と異なり、このような製品に対して、マスコミを通じて宣伝やプロモーションを行わないため、宣伝上の資料が少ないです。このような状況に対処するため、権利者は、より多くの他の証拠(例えば、売上証拠、受賞歴など)を提供することで、この不足を補うことができます。

(4)当該商標の馳名商標としての保護記録

四つ目は、当該商標の馳名商標としての保護記録に関して、当該商標が過去に馳名商標として保護されたことがある場合、これに関する資料は、当該商標が再度馳名商標に認定されるにあたり、非常に有利な証拠となります。

(5)当該商標が馳名であることのその他の要因

五つ目は、当該商標が馳名であることのその他の要因とは、過去3年間の売上収益、市場シェア、純利益、納税額、販売地域などを証明できる資料および当該商標の知名度を認めた先行裁定や判決などが含まれます。

まとめ

上記5つの点を挙げたとはいえ、実際の馳名商標の認定にあたっては、行政機関でも裁判所でも、ケースバイケースによって総合的に判断されますので、上記の判断基準をすべて満たす必要がある訳ではありません。

ある方面の証拠に不足があれば、他の方面の証拠を補強することでこの不足を補うことができます。最終的にすべての証拠において完全な証拠チェーンを形成させ、当該商標が高い知名度を有することを立証し、馳名商標として認定・保護されるよう促すことになります。

(北京恵利爾商標代理有限責任公司)

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