漢字 イメージ 背景

はじめに

中国商標の登録出願件数及び登録保有件数の持続的な増加に伴い、限られた漢字語彙の中で文字を組み合わせて独創的な商標を作ることがますます難しくなってきています。その影響で、一部の経営者が新たな道を切り開こうと漢字の筆画を増減させたり、外国漢字(例えば日本語漢字)を使用したり、異なる文字(例えばアルファベットと漢字)の形を変えて新たに文字を創造し、商標として出願することがよく見受けられます。

果たして、このような造字または非規範的な漢字は商標として登録できるのでしょうか。

中国において規範的な漢字とは何?

まず、中国において規範的な漢字とは何でしょうか。規範的な漢字とは国が整理し、簡略化して、『簡化字総表』及び『通用規範漢字表』に収録した簡化字及び伝承字を指します。商標に使用される漢字は、原則として規範的な漢字を使用すべきですが、商標業務の特殊性及び一部の地域の現状と歴史と伝統を考慮し、繁体字及び行書、草書、官字、篆書などの書道形式の漢字の使用も認められています。ただ、それ以外の外国漢字、書き方が規範的ではない誤字、造字等は規範的な漢字の範囲外になります。

それでは、非規範的な漢字とは何?

中国『商標審査審理指南』の規定によって、非規範的な漢字は国の経済、文化、民族、宗教、社会に対してマイナスな影響を及ぼし、公益を損ない公の秩序を乱すものに該当し、『商標法』第十条第一号第(八)項に違反したため、商標として登録・使用してはならないとされています。

非規範的な漢字を審査する際、関連公衆(特に未成年者)が漢字の筆画に対して誤認を生じさせやすいかがメインとなり考慮されます。漢字の筆画が図形化、芸術化的にデザインされて、商標が漢字として認識されにくい場合、非規範的な漢字と認定せず図形として審査することができますが、漢字として認識されやすい場合、特に印刷体または一般的な手書きの漢字は厳しく扱われています。

非規範的な漢字と認定される具体例

よく見受けられる非規範的な漢字は、造字、筆画の増減、筆画の間違い、外国漢字等が含まれますが、本文章で注目したいのは外国漢字、特に日本語漢字です。今まで中国で日本語漢字の商標を出願して無事に登録されることが多かったのですが、審査が厳しくなる中、却下されるものも現れました。公開データによって、2024年から今までの一年間だけで、

小林消臭元SHOSHUGEN消臭元とろ~り温まって夢気分元気〇特気分に合った香りを選べる元気屋元気いっぱい等の日本語漢字が非規範的な漢字と認定されたために却下された商標は十数件発見されました。

日本語漢字と中国語漢字がよく似ているものの、些細な相違があるものも多いです。例えば、上記商標例の日本語の「臭」は、日本語では「自+大」と書きますが、中国語の「臭」は「自+犬」と書きます。また、日本語の「気」には「メ」がありますが、中国語の「气」にはありません。

非規範的な漢字を使用しないよう、検討することをお勧めいたします

経験によって、商標の中の漢字が非規範的な漢字だと認定されて拒絶された場合、不服審判段階で拒絶理由を覆せる可能性がかなり低いです。コスト面を考えれば、出願する前に代理人と相談し、できれば非規範的な漢字を使用しないよう、検討することをお勧めいたします。もし、拒絶を受けた場合は、積極的に不服審判・訴訟を提起し、商標の独創性、漢字の由来、商標が長期的に使用されたことによって関連公衆が漢字の表記に対して誤認を生じさせない等を説明することができます。

 

(北京恵利爾知識産権信息諮詢有限責任公司)

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