

重点監視対象とされる7つの違法・不正行為
中国国家知識産権局は、このほど「商標使用の管理強化に関する通知」を公表しました。
本通知は、商標の違法・不適切な使用に対する監督を強化し、商標権の尊重と適正な行使を社会全体に促すことにより、公正な競争環境の整備と経済の高品質な発展を図ることを目的としています。
この通知では、「7つの違法・不正行為」を重点的な監視対象として明示しています。
(1)欺瞞性を持つなど、使用が禁止されている未登録商標を使用する行為
(2)登録商標を欺瞞的に使用する行為(商品の品質や内容と異なる表示を行うなど)
(3)未登録商標を登録商標であるかのように表示して使用する行為
(4)登録商標の使用が義務付けられている商品について、商標を登録せずに販売する行為
(5)経営活動において「著名商標」の文字を目立つように使用する行為
(6)規定に違反して団体商標、証明商標を使用する行為
(7)商標代理機関が違法に代理業務を行う行為
通常、適正な事業運営を行っていれば、これらの重点監視対象に抵触する可能性は高くありません。しかし実務においては、経営者(特に外国の経営者)が中国の商標制度やその運用について十分に理解していないケースも見受けられます。無意識のうちに違反行為に及ばないよう、十分に注意を払い、リスクを低減することが重要です。
実際の事例
例えば、商標の中に「富硒(セレン含有)」、「有机(オーガニック)」、「零添加(無添加)」、「100%」といった成分・原料に関する記述や、地名、年号、「手工(手作り)」、「手打(手打ち)」といった産地・生産時間・製法に関する記述が含まれる場合、中国商標法第10条第1項第7号などの規定に基づき、登録が拒絶される可能性が高いと考えられます。
このような場合、一部の経営者の中には、「未登録のまま直接使用する」あるいは「問題とされた文字を削除して登録したうえで、実際の使用時には再び文字を付け加える」といった対応をとるケースもあります。
しかし、商標表示と実際の商品の内容が一致せず、消費者に誤認を生じさせた場合、上記の重点監視対象である「(1)欺瞞性を持つなど、使用が禁止されている未登録商標を使用する行為」、あるいは「(2)登録商標を欺瞞的に使用する行為」に該当すると判断されるおそれがあります。
また、「(3)未登録商標を登録商標に装って使用する行為」とは、未登録の商標であるにもかかわらず登録済みであるかのように表示し、消費者の利益を損なう違法行為を指します。
国際的に事業展開を行う企業にとって特に注意すべき点は、商標権には「属地主義(権利が発生した国・地域の範囲内でのみ効力を持つ原則)」が採用されている点です。自国(日本など)で登録されている商標であっても、中国で登録を完了していない限り、中国国内では「登録商標」として扱うことはできません。
越境ビジネスを行う際には、事前に弁理士などの専門家へ相談し、未登録商標を登録商標と誤認させる表示を行わないよう慎重な事前確認が求められます。
著名商標の文字を目立つように使用する行為について
「(5)経営活動において『著名商標』の文字を目立つように使用する行為」について補足します。
中国の商標法の関連規定によれば、「著名商標(馳名商標)」とは、商標の出願・登録・使用を巡る紛争において、個別の案件ごとに認定される制度です。これは特定の紛争において特別な保護を与えるための仕組みであり、ブランドの格付けや栄誉称号ではありません。
そのため、著名商標の文字を商品本体や包装、容器に使用すること、さらには広告宣伝、展示会、その他の営業活動において強調表示することは禁止されています。
以上、実務上特に誤解が生じやすい商標使用に関するポイントを解説しました。
中国で事業を行う企業は、本通知の趣旨を十分に理解し、意図しない違法行為や不適切な商標使用を未然に防ぐことで、健全かつ持続可能な事業運営に努めることが求められます。
(北京恵利爾知識産権信息諮詢有限責任公司)



