中国商標法によると、登録商標の専用使用権は、許可された指定商品又は役務を範囲とします。
正当な理由がなく登録商標を3年間連続で使用しない場合、誰でも当該登録商標に対して不使用取消審判を申請できます。
不使用取消審判を受けた場合、商標権者は登録商標の指定期間内における指定商品の使用証拠を提示できなければ、商標が取り消されます。
プラクティス上でよくあることですが、実際に扱っている商品は登録商標の指定商品そのものではなく、指定商品に類似する他の商品による使用です。ここで疑問が生じますが、このような使用で商標権を維持できるでしょうか。
判例を見てみましょう
判例を見てみましょう。
シンセン市香雅食品有限公司(以下は香雅社という)は、第30類「穀粉製食品、穀類製品、食用デンプン、砂糖、ゴマペースト」等の指定商品において商標第11921096号(以下は係争商標という)を登録しました。
本商標において不使用取消審判及びその不服審判を経て、国家知的財産権局は係争商標に対する取消決定を下しました。
不使用取消審判における不服審判の審決において、国家知的財産権局は「香雅社が提出した証拠は、オートミールにおいて係争商標を使用したことは証明できます。ただ、区分表から、オートミールと係争商標の指定商品ゴマペーストは類似商品ではあるが、オートミールでの使用は指定商品についての使用に当たらないという意見を述べました。
香雅社は当該審決に承服できず、北京知的財産権法院へ提訴しましたが、北京知的財産権法院も「登録商標が指定商品において使用されていない中、指定商品と類似する商品での使用は、登録商標の使用と見なすことはできません」という意見を述べました。その後、香雅社は上訴せず、北京知的財産権法院の判決に承服しました。
この判例から参考にできることは3つあると考えます。
判例から参考にできること 一つ目とは?
1つ目は、指定商品以外の商品で登録商標を使用する場合、その商品が指定商品の類似商品であっても、商標権を維持できません。上記判例はこの状況に該当します。
判例から参考にできること 二つ目とは?
2つ目は、実際に扱っている商品又は登録商標の指定商品が区分表に存在する規範的な商品名称でない場合、商品の機能や用途、生産部門、消費ルート、消費グループなどを考慮したうえ、このような商品についての使用で商標権を維持できるか判断する必要があります。
実際に扱っている商品と登録商標の指定商品の名称だけが異なり、本質上では同一商品である、もしくは実際に扱っている商品が登録商標の指定商品の下位概念に該当するものである場合、実際に扱っている商品での使用が登録商標の指定商品における使用として認められます。
判例から参考にできること 三つ目とは?
3つ目は、プラクティス上、登録商標が指定商品または役務の一部において使用された場合、使用された指定商品または役務と類似するほかの指定商品または役務での登録も維持できます。
総じて
総じて言えば、商標登録の目的は、商標権を得るだけでなく、使用のためでもあります。
商標の使用は、商標の保護範囲を確定させるため及び商標機能の発揮にとって重要です。
商標権者は、その登録商標を享有するほか、使用する義務も負うことになります。指定商品または役務において登録商標を規範に則って使用してこそ、不使用取消審判が提起された際に商標登録を維持することにつながります。