会社商号の使用を登録商標の使用と同等に扱ってはいけません!

自社の商号を商標登録している会社は少なくありません。

このような登録商標は、もし他人に三年間不使用の理由で取消審判を請求された場合、自社の商号として長期に渡り使用しているため、その使用も当該登録商標の使用とみなし、不使用取消申請に反論できると思い込む企業があるかもしれません。

実は、この認識は誤りです。会社商号の使用を登録商標の使用と同等に扱ってはいけません。

このような登録商標の不使用取消審判において、一番重要なのは、如何にして会社商号の使用と登録商標の使用を区別して、当該登録商標が真実で合法的、且つ有効的に使用されているか判断することです。

会社商号の使用と登録商標の使用の相違点は?

会社商号と登録商標は、同じ商業標識であるとはいえ、商号が会社名称の一部である以上、登録商標と比較したとき、

  • 登録許可規定
  • 機能
  • 専用権の性質

等において明らかな相違が存在してします。また、商号の使用と登録商標の使用に対する評価基準も異なっています。

登録商標の使用が有効と判定されるには・・・

三年間不使用による取消審判において、登録商標の使用が有効と判定されるには、下記3点を満たす必要があります。

(1)登録商標は許可された商品または役務において使用されていること

まず、登録商標は許可された商品または役務において使用されていることです。

一つの会社には商号が一つしかありませんが、複数の商標を同時に持つことができます。

会社はその商号を経営活動に使用する際、具体的な商品または役務と密接に結びつける必要がないのに対し、複数の商標をそれぞれ異なった許可商品または役務に使い分ける必要があります。

登録商標は、経営活動だけではなく、許可された商品または役務(商品又は役務の取引、宣伝広告を含む)において使用すべきです。

取消審判において、登録商標の権利者がその登録を維持するために一番重要なのは、その係争商標が指定期間に許可された商品または役務において使用されていることを証明することです。

(2)登録商標の使用が商品または役務の出所を識別する機能を果たしていること

次に、登録商標の使用が商品または役務の出所を識別する機能を果たしていることです。

商号は会社名称の一部として、その主な機能は企業自身を表すことであるため、商号の使用は標識的使用とは限らず、広告用語、マスコミ記事または他の説明的文字にも使用できます。

これに対して、登録商標の主な機能は、関連公衆にそれを商標として認識させ、商品または役務の出所を識別させることとなります。

このため、商標の使用は関連公衆に商品または役務を連想させる機能を果たすものでなけれればなりません。

(3)登録商標の外国語訳の使用は、登録商標の使用とみなされません

最後に登録商標の外国語訳の使用は、登録商標の使用とみなされません。

中国の企業名称登記の関連規定によって、中国企業は外国語の会社名称の登記を申請できますが、外国企業も中国語の会社名称の登記を申請することができます。

従って、同一の会社の中国語商号の使用も外国語商号の使用も同じく商号の使用とみなすことができます。

しかし、登録商標は登録された様態のままで使用されるべきです。外国企業が中国で登録した中国語商標の登録を維持するには、当該中国語商標の中国での実際の使用状況が審査されることとなり、外国語標識の使用を中国語の登録商標の使用とみなすことはできません。

まとめ

もちろん、三年間不使用による取消審判において、係争商標の使用について、その使用行為が指定期間に発生したものなのか、すべての許可商品又は役務において真実、且つ有効的な商業的使用を行ったものなのか等も考慮に入れるべきです。

また、特殊な場合において、商号の使用は商品または役務の出所を識別する役割を果たす場合もあり、登録商標の使用と認定される可能性もありますが、このような場合、権利者は充分に立証する必要があります。

要するに、会社商号が登録商標の文字と同一である場合、その登録商標が三年間不使用により取消されることを防ぐために登録商標の権利者は、その経営活動の中で商号の使用と登録商標の使用義務を混同してはいけないということになります。

登録商標の使用において、前述3点をご留意ください。

(北京恵利爾商標代理有限責任公司)

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