新型コロナウイルス(COVID-19)による中国商標手続への影響

日本でも更なる感染拡大が懸念されている新型コロナウイルス(COVID-19)問題。

その発生源とされる中国の国家知識産権局では、2020年1月28日付で「疫病影響による専利、商標、集積回路配置の期限事項に関する公告(第350号)」を発表しています。

公告は専利、商標、集積回路配置手続きの疫病期間における期限について定め、第2項では商標の手続きの期限について定めています。

公告第2項によると、当事者が新型コロナウイルスによる肺炎(以下、「新型肺炎」)に起因する理由によって、商標法及びその実施細則に規定する期間、または国家知識産権局の指定した期間が経過し、商標手続きを正常に行うことができない場合には、その期間は権利行使の障害が発生した日から中止し、障害が消滅した日から継続して計算されることになりますが、法律上別途定めがある場合は除かれる、とされています。

権利行使の障害によって商標権を喪失した場合、当事者は、その障害が消滅した日から2ヶ月以内に権利回復請求書を提出し、理由説明と証明資料提出をすることによって、権利の回復を請求することができます。

2020年2月6日現在、中国国家知識産権局サイトではさらに以下のように説明されています。(一部抜粋)

(1)期限中止制度が適用することができる商標手続きは?

商標手続きの補正、審査意見への応答、料金の支払い、同日出願がなされた場合の使用証拠と協議内容の提出、登録商標の3年間連続不使用による取消手続きに対する使用証拠の提出、商標異議手続き、商標出願拒絶決定に対する再審手続き・・・などの商標手続きが対象となります。

(2)権利行使の障害が発生した日と権利行使の障害が消滅した日とは?

「権利行使の障害が発生した日」とは、当事者が新型肺炎により入院し、隔離され、または所在地域の感染予防・抑止措置により商標手続きを通常通りに行うことができない日を指します。
「権利行使の障害が消滅した日」とは、当事者が退院し、隔離が終了し、または所在地域の操業再開、感染予防・抑止措置が解除される日を指します。
なお、今回の特別な状況に基づいて、当事者の権益を最大限に保護するために、当事者が上記の要件に該当する場合、権利行使の障害が発生した日と権利行使の障害が消滅した日は当事者に最も有利な時間を適用するものとします。

(3)期限中止を主張する具体的な方法は?

当事者は上述の商標手続きをすると同時に、期限中止制度適用を請求する申請書を提出し、その申請書には当事者が疫病期間にいた所在地域、権利行使の障害が発生した原因及び消滅時間を列挙し、証明資料を提供する必要があります。

(4)期限中止を主張するに有効な証明材料は?

感染治療、隔離あるいは地方感染予防・抑止措置期間などの材料を証明資料とすることができますが、地方自治体によって公的に発行された操業再開の遅延通知は除きます。

この公告の原文はこちらをご参照ください。

(日本アイアール株式会社 B・Y)

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