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WeChatの絵文字が商標登録間近!・・・しかし出願人は浙江省のアパレル業者

日本をはじめ海外でもユーザーが増加している微信(WeChat)。運営元の騰訊(テンセント)が商標権の問題に頭を悩ませていることはこれまで何度も報じてきたが、今回の悩みのタネは、ありそうで意外となかった絵文字の商標権の問題だ。

2018年9月18日付の北京青年報によると、問題となっているのは、WeChatの顔文字の中で人気が沸騰しているこの絵文字。

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テンセントの若手デザイナーが大ファンである香港の映画スター、チャウ・シンチーの動作を模して制作したもので、他の表情も合わせて一連のシリーズとなっている。

ところが、この商標の初審(予備査定)公告をよく見ていただければ分かると思うのだが、絵文字の下の「申請人」は明らかに個人。その下には「浙江省~」と所在地が記されている。
ご想像の通り、この絵文字、出願したのは浙江省でアパレル企業を営む個人であり、テンセントともテンセントのデザイナーとも何ら関係はない。出願人の金氏は、被服、ブラウス、靴など25類の商品10アイテムを指定して本商標を出願した結果、審査を経て初審公告段階まで至った。なお、初審公告から3ヵ月以内に異議申立てが行われなければ、出願は登録査定となる。

報道によると、出願人の金氏は衣料品の貿易会社を経営しており、デザイン・生産とも自社で行っている。自社の製品の多くにこの絵文字の表情をプリントしており、「もう1~2年使っているから、保護しなければと思って商標出願した。」とのこと。
また、権利侵害であるとの指摘には「自分が登録するのは被服類で、この商標を使ったアプリの開発などは行っていない。分野が違うから権利侵害にはならない。」と主張しているとのことである。つまり、自分が商標登録してもネットユーザーがこの絵文字を使うことについては全く問題がないという見解だ。
これに対し、テンセントは異議申立てを行う見通しといわれている(中国商標法においては、先行権利者、利害関係者は第33条に基づき異議申立が可能である)。ただ、そもそも当該の絵文字は商標なのか、という観点から、絵文字の著作権の侵害の方が本件の焦点となるのではとの見方もある。

こうしたSNSサービス上で使用される絵文字やスタンプをどのように保護するかについては日本でも様々な検討が行われている。本件の今後の展開に注目していきたい。

(日本アイアール A・U)

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