【中国商標ニュース】中国商標法改正、使用を目的としない悪意ある出願を拒絶(2019/5)

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中国商標法改正、使用を目的としない悪意ある出願を拒絶

2019年4月23日の第13期全人代常務委員会第10回会議にて、中華人民共和国商標法の改正に関する決定が通過し、2019年11月1日より改正法が施行されることとなりました。
今回の改正は2013年以来で、第4回目の改正となります。
改正条文は少ないものの、商標を使用する意思のない悪意ある出願の拒絶、権利侵害に対する罰則の強化など、外国企業にとっても軽視できない内容が含まれていますので注意が必要です。

 

1.使用を目的としない悪意ある商標登録出願の拒絶(第4条第1項)

使用を目的としない悪意ある商標登録出願は拒絶される旨が明文化されました(なお、この場合の「悪意」は、日本の法律用語とは異なり、知・不知を問題とするわけではありません)。
また、この点に関連して、商標登録出願に係る商標が第4条に該当すると知っていた、或いは知っていて然るべき場合、出願業務を委託された代理人は当該業務を受託してはならないとも定められています(第19条第3項)。
ただ、使用を目的としない悪意ある出願を拒絶すると言っても、当該商標登録出願が悪意あるものに該当するかを審査時に判断することは至難の技と考えられます。この点をカバーする意味もあり、上記第4条への違反が異議申立理由(第33条)、無効理由(第44条1項)に加えられました。
また、既存の内容である第19条4項「商標代理機関は、その代理サービスに係る商標登録出願を行う以外に、その他の商標登録出願を行ってはならない。」も、異議申立理由(第33条)、無効理由(第44条1号)に新たに組み入れられています。

 

2.権利侵害に対する罰則強化(第63条)

(1)損害賠償額の上限引き上げ

権利侵害に係る賠償額の決定方法は、

  1. 権利者が権利侵害されることにより受けた実際の損失により確定
  2. 実際の損失の確定が困難な場合は、権利侵害者が侵害により得た利益により確定
  3. 権利者の損失若しくは権利侵害者が得た利益の確定が困難な場合は当該商標の使用許諾料の倍数により合理的に確定

とされており、悪意により商標権を侵害し情状が深刻な場合には、いわゆる懲罰的損害賠償として、上述の方法で確定した金額の「1倍以上3倍以下」で賠償額を決定することができると定められていました。また、上記①~③のいずれの方法でも賠償額の決定が困難な場合は、人民法院が権利侵害行為の状況を鑑み300万元以下の賠償を判決する旨も定められていました。
今回の改正では、この懲罰的損害賠償の上限が「3倍」から「5倍」に引き上げられ(第63条第2項)、賠償額の決定が困難な場合に人民法院が決定する賠償金の上限も、「300万元」から「500万元」に引き上げられました(第63条第3項)。

 

(2)登録商標偽証の商品等の廃棄命令

無許諾で登録商標若しくはこれに類似する商標を使用して商標権者の権利を侵害した場合、当該のニセ商標を外してしまえば商品を自由に流通させられるということになりますと、権利侵害者への保護が十分であるとは言えません。こうした問題点を考慮し、今回の改正で以下の内容が初めて取り入れられました。
人民法院が商標紛争事件を審理する際、権利者の請求により、登録商標偽証の商品について、廃棄を命じることができる旨が新たに定められました(特殊な状況を除く)。また、主として登録商標偽証の商品の製造に用いられる材料、器具についても廃棄を命じることができ、これに補償はないものとされています。さらに、特殊な状況においては、上記材料、器具の市場への流入の禁止を命じることができ、これにも補償はないものとされています(第63条4項)。
登録商標偽証の商品について、単に当該商標を除去しただけの場合は市場に流入させてはならない旨も新たに定められました(第63条第5項。)

 

また、違法行為を行った代理人に対しての処罰の対象も拡大しており、第四条に違反し是正の要求に応じない場合は罰金を科せられる旨が規定されました(第68条第1項第3号)。また、代理人による悪意ある商標登録出願に対しては情状によって警告・罰金などの行政処罰が下され、代理人による悪意ある商標訴訟の提起も人民法院による処罰の対象となっています(第68条第1項第4号)

 

(2019/5/22 日本アイアール A・U)


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