
登録商標の連続三年不使用による取消制度(以下、不使用取消という)は、商標法における重要な制度であり、商標の不必要な独占(買い占め)を防止し、休眠状態にある商標の有効活用を促進するための重要かつ有効な手段です。
審査実務においては、「商標権者の提出した証拠が、指定期間内かつ指定商品(指定役務)において、登録商標が真実かつ有効に使用されていたことを立証できているか否か」が最大の焦点となります。したがって、提出証拠の「真正性・関連性・合法性」の認定が、登録商標を維持できるかどうかを左右する鍵となります。
1.「真正性」の認定
このうち「真正性」のポイントは、証拠によって示された商標の使用が、実際の商業活動において行われたものであるかを検証することにあります。証拠の出所(作成元や入手経路)が追跡可能であることが重要であり、架空の使用はもちろんのこと、単なる形式的・名目上の使用(象徴的使用)は排除されなければなりません。
例えば、製品の販売実績を示す証拠として、発票(正規の税務領収書・インボイス)とともに、売買契約書、製品写真、ECサイトでの販売データなどを併せて提出することが推奨されます。発票は税務当局の管理下で発行される取引証憑であり、その真正性(真偽)を追跡・検証することが可能です。さらに、その裏付けとして「製品写真に登録商標が鮮明に表示されていること」「契約内容と発票の内容・金額に合理的な対応関係があること」「発票の品目名と実際の製品名が合致していること」「発票の発行時期と実際の取引時期がおおむね一致していること」などが確認できれば、当該証拠の真正性・関連性を裏付ける有力な事情となります。
近年における使用証拠の審査実務では、「証拠の連鎖性・整合性(証拠チェーン)」が重視される傾向にあり、断片的な証拠や自社で作成した内部資料のみで認められる可能性は低く、取引全体を網羅する客観的かつ一貫した証拠群の提出が求められる点に留意が必要です。
2.「関連性」の認定
次に「関連性」のポイントは、提出された証拠が「登録商標」およびその「指定商品・指定役務」と直接関連しているかを検証することにあります。権利者が提出する証拠は、登録商標が明確に表示され、対象となる指定商品・指定役務に対応したものであり、かつ、不使用取消の申請日から遡る3年間の対象期間内に使用されたことを示すものでなければなりません。
実務上、自社で製造・販売する商品(アパレルやアクセサリーなど)の広告・宣伝活動に登録商標を使用することを、「第35類の『広告業』サービスについて登録商標を使用している」と同義であると誤解されている権利者が少なくありません。しかし、これは明確な誤りです。登録商標の指定役務が「第35類:広告業」である場合、単に自社商品の販売促進のために行った広告・宣伝資料を提出したとしても、それは自社商品の使用にあたるに過ぎず、第35類役務に対する「関連性」の要件を満たすとは認められません。
3.「合法性」の認定
なお、「合法性」のポイントは、証拠の取得・作成・使用のプロセスが合法的であるか、また商標の使用主体が適法であるかを検証することにあります。審査実務において、偽造・変造された証拠や違法な手段により入手された証拠は、証拠として採用されません(証拠能力が否定されます)。なお、商標権者から使用許諾を受けたライセンシー(使用権者)による使用についても、その使用許諾関係の存在を証明できる場合、有効な使用証拠となり得ます。
4.まとめ
2027年1月1日に施行される改正商標法では、登録商標の「実際の使用」がこれまで以上に重視されることとなります。これを踏まえ、商標権者の皆様におかれましては、日頃から登録商標の使用証拠を体系的に整理・管理し、取引の過程で生じる一連の資料(売買契約書、発票(正規領収書・インボイス)、広告契約書、宣伝用ノベルティ・資料、製品写真、物流・配送記録など)を漏れなく適切に保管・蓄積されることを強く推奨いたします。
万が一、不使用取消の申請がなされた際には、断片的な資料の提出にとどめず、一連の取引の流れを証明できる「証拠群の連鎖性(一貫性)」および「追跡可能性(トレーサビリティ)」を担保することが重要です。また、「証拠上に登録商標が鮮明に表示されていること」「使用時期が客観的に特定できること」「使用主体が適法であること」も、証拠の有効性を左右する不可欠なポイントとなります。
(北京恵利爾知識産権信息諮詢有限責任公司)



