指定商品の選定について

指定商品・指定役務について、中国では商品および役務の包括的な指定や、いわゆるクラスヘディングの記載が認められていません
出願時に区分と具体的な商品・役務を指定しなければなりませんが、中国の商標/役務一覧に載っていない商品/役務であっても、過去に同様の表現により登録になっている場合があります。そのような場合にも、その旨をコメントし、ご提案いたします。区分表などに載っていないような新しい商品・サービスである場合は、パンフレット等の参考資料を添付して出願することにより認められることもあります。

ディスクレーム制度について

出願した商標の一部に識別力のない部分が含まれている場合、いわゆるディスクレーム(権利不要求)を表明することにより、商標権の効力はその部分には及ばないことを前提として、その出願商標の登録を受けることができます。
審査における補正命令により表明することもありますが、出願時に自らがディスクレームの表明を行うこともできます。
ただし、出願時にディスクレームを表明せず、補正指令が出されて応答する場合、補正手続きの追加費用が発生しますのでご注意下さい。
(審査過程におけるディスクレームの要否については、審査官の判断によります。)

部分拒絶について

中国商標出願には「部分拒絶」(partial refusal)の制度があります。
出願した商標の指定商品または役務の一部が拒絶された場合、拒絶に応答せずに放置した場合でも、認められた商品または役務についてはそのまま登録となります。拒絶査定の通知が届いても、「部分拒絶」であれば出願全体として拒絶されたわけではないので、十分な確認が必要です。

商標の使用について

中国商標法における「商標の使用」とは、「商標を商品、商品の包装もしくは容器、および商品取引書に用い、または広告宣伝、展示およびその他の商業活動において商標を用いることをいう。」と定義されています。
中国商標法では、登録商標を使用する際に商標権者は登録商標を無断で改変し変更してはならないと定めております。
例えば、中国語と英語の二段表記の商標である場合に、片方のみを使用しただけでは商標の使用とは認められません
繁体字と簡体字の相互の改変をした場合も、商標の使用とは認められず取消対象となり得ます
また、書体の改変行為は多少の変更であれば商標の使用と認められることもあるようですが、大きな変更が伴うような場合には注意が必要です。
(※日本商標法における「標準文字制度」に相当するものは、中国にはありません
なお、中国における不使用取消請求においては、日本商標法に存在するいわゆる「駆け込み使用」のような規定はありません。

商標権の譲渡について

中国における商標権の譲渡は、商標局への譲渡手続が必要となります。
また、商標権者が所有するその同一又は類似の商標を一括して譲渡する必要があります。
いわゆる分離移転や分割移転は認められていない点に注意が必要です。
中国商標権の譲渡申請手続きについてはこちらのページをご参照ください。

名義変更申請について

商標局に法人名や住所の変更変更登録を行う際、関連する商標権は一括して変更登録する必要があり、一括変更されない場合はその変更申請は放棄されたものとみなされます
一括名義変更の申請サービスについてはこちらのページをご参照ください。

一出願多区分制の導入について

2014年の商標法改正により、中国でもいわゆる「一出願多区分制」が認められるようになりました。
しかし、官庁費については「一出願一区分」と同じとされ、官庁費のコスト削減というメリットはありませんでした。
審査の段階で何らかの問題(例えば部分拒絶)で一部の区分での登録は認められるが、ある区分での登録は困難であるという状況になった場合には、「分割」の手続きをする必要がありますが、その場合は多区分出願をしたことにより、かえって費用がかかってしまうという事態が生じる可能性もあります。
また、現状では、分割は部分拒絶の時しかできません。例えば、上述のように商標譲渡の際は分割できませんので、全ての区分における登録を全部譲渡しなければならないことになります。
したがって、現段階では一出願多区分制のメリットは、あまり多くないと考えられます。

中国商標の補正通知の発行について

中国商標出願時に中国における標準商品名/役務名に掲載されていない商品/役務を指定する場合、補正通知が発行されることがあります。この補正通知が出されると1度しか応答が認められません。(応答内容が認められなければ、出願自体が却下され、出願しなかったことになり、再出願しなければならなくなります。)
そのため、補正内容については、基本的に審査官の指摘通りに修正しなければならなくなるので注意が必要です。
補正手続き(応答)を提出する場合は費用が発生しますので、どうしても補正通知を受けたくない場合には、出願時に標準商品名にて出願することを検討しましょう。