近年、中国の商標出願件数が激増しており、後願商標が先行類似商標の存在で却下されることは多々あります。

そのうち、先行類似商標の権利者企業が様々な原因で登記が一時的に取り消されたり、会社が閉鎖になったりして、営業停止状態になることもよく見られます。

しかし、会社が営業停止状態になってしまった場合でも、その登録商標は有効な状態のままであり、後願商標の拒絶の原因になります。

いろいろ生じる疑問

後願商標の出願人は、このような先行類似商標で拒絶を受けた場合、この先行類似商標が使用されていないにも関わらず、なぜ有効な状態で放置されているのか、という疑問を抱くでしょう。

他にも、「営業停止にも関わらず、商標の権利者として合法的でしょうか。その商標を無効にするべきではないか。先行類似商標の権利者が営業停止との理由で後願商標の審査中止の申請ができるか」と、いろいろな疑問が生じる可能性があります。

その結果は、果たしてどうなるでしょうか。ここでは、過去の判例から、裁判所の見解を見てみましょう。

裁判所の見解

一、会社が行政処罰を受けて登記が一時的に取り消された場合、その経営資格は一定の制限を受けますが、閉鎖される前であれば、依然として有効な法律上の一企業体であり、法に則って関連の民事的な権利を享有しています。


二、先行類似商標の権利者の登記が一時的に取り消された場合でも、その商標を無効とすることはできません。その理由として、会社が閉鎖されるまでは、民事上の経営資格が存続しており、会社はその商標を第三者に使用を許諾し、商標を市場に流通させる権利があります。また、たとえ会社が清算手続きに入ったとしても、その商標は無形資産として、有効のままで存続する可能性があります。


三、先行類似商標の権利者の営業停止が、法律上、商標案件の審査中止の理由にはなりません。


四、先行類似商標の権利者の登記が一時的に取り消された場合でも、その経営資格を失った訳ではないため、今後、先行類似商標が使用されることがないという結論には至りません。

登記の一時的な取消は、行政処罰の一種

ということから、商標実務において、登記の一時的な取消は、行政処罰の一種と認識されることが一般的です。会社の経営資格が現在も存続しており、その商標と商標の使用許諾も有効なままです。

従って、その商標が今後使用されることがないとは言えず、それを理由に後願商標の審査中止を申請することもできません。

では、後願商標の出願人として、営業停止になっている会社の商標の存在で拒絶を受けた場合、どのように対処したらいいでしょうか。

営業停止になっている会社の商標の存在で拒絶を受けた場合の対処法

考えられる手段として、まずは不使用取消審判を提起することです。先行類似商標の権利者が営業停止になっていることを考えますと不使用取消審判の成功率が高いと思われます。


また、不使用取消の審査期間が長期にわたるため、手早くその障害を解消したい場合、先行類似商標の権利者に連絡し、その商標の抹消または譲渡について交渉することも考えられます。先行類似商標の権利者が閉鎖された場合でも、一定の条件を満たすことができれば、譲渡申請は可能です。

 

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